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社会福祉協議会の不動産担保型生活資金・リバースモーゲージローン

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貸金業法の変遷④(貸金業規制法から貸金業法へ、最高裁判所第二小法廷平成18年1月13日判決 平成16年(受)第1518号 貸金請求事件 みなし弁済の実質的否定)

貸金業規制法から貸金業法へかわるきっかけが、平成18年1月13日最高裁判所第二小法廷の判決です。

<最高裁第二小法廷判決 平成16年(受)第1518号 貸金請求事件(2006年(平成18年)01月13日)>

利息制限法以上の金利の支払いについて、「期限の利益喪失条項」などで事実上の強制がなされた場合、みなし弁済の要件を満たしていないとされた(シティズ判決)判決です。
この判決は、それまでグレーゾーン金利の大きな要因となっていたみなし弁済の適用を、実質的に否定しました。

それまでは、みなし弁済という制度がありました(H18年改正(H22年6月完全施行)で廃止されました)。

みなし弁済は,旧貸金業法(貸金業規制法)43条所定の要件を満たす場合には、貸金業者が利息制限法所定の上限金利を超えて利息を受領しても,有効な弁済があったものと「みなす」という制度です。利息制限法に定められた金利(15~20%)を超え、出資法による金利(~29.2%)まではとれますよという制度。

このみなし弁済適用の要件として下記の5つの要件があります。

① 債権者が貸金業者であること
② 契約する際、貸金業法17条の要件を満たす書類を交付していること
③ 弁済する際、貸金業法18条の要件を満たす書類(受取証書)を直ちに交付していること
④ 債務者が約定金利による利息を、利息としての認識(利息がいくらか理解している状態)で支払ったこと
⑤ 債務者が約定金利による利息を(詐欺や脅迫によらず)任意に支払ったこと
この判決によって⑤の要件「任意に支払ったこと」を満たすことを貸金業者が主張できなくなりました。

それは、期限の利益の喪失条項に関連してきます。
貸金業者は融資するにあたり金銭消費貸借契約を締結します。
その契約書には必ず「期限の利益喪失特約」が入っています。
「約束の日に、約束の金額(元金と約定利息)を支払わなければ、期限の利益を喪失します。」と。

この判決では利息制限法に基づく法定利息と元金の支払いを怠った場合のみ、期限の利益喪失とすべきであるとしました。
どの貸金業者も「期限の利益喪失特約」で利息制限法内の部分とグレーゾーン金利部分を分けて説明していません。

グレーゾーン金利部分も含めて支払わなければ期限の利益を喪失してしまうと誤解を与えるものであり、この誤解によって、事実上支払を強制していることになると判決はしめしました。
事実上グレーゾーン金利の支払を強制している状態で、果たして自由に意志に基づいた「任意」の支払であると言えないというものです。

これにより、5つのみなし弁済成立要件の1つ、「任意に利息を支払ったこと」の要件を満たすことはなくなり、この判決はみなし弁済を規定した貸金業法43条を完全に否定しました。
これをよって、当然、監督官庁の金融庁は、貸金業規制法の施行規則を改正します。
契約書・領収書に「期限の利益喪失条項」は利息制限法の利率を超えない範囲においてのみ効力を有すると。

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このみなし弁済は、消費者から見ると全く貸金業者よりの勝手な考え、解釈であって、利息制限法の金利を無視し、高利で多額の収益をむさぼっている。
また社会的弱者たる消費者=借主を保護するという社会通念から逸脱するものだと、消費者側から強い反発があり、裁判でも激しく争われてきました。

クレサラ・商工ローン問題の焦点の一つでした。
そして、平成18年1月13日にみなし弁済の適用を実質的に否定する決定的な判決が出たのです。
これまでも貸金業規制法43条の要件を貸金業者は満たしていないからみなし弁済は成立しないという判決は多く出されていましたが、みなし弁済自体を全面的に否定するものではありませんでした。

最高裁判所第二小法廷平成18年1月13日判決は、内容的には、みなし弁済の要件の1つである支払いの任意性を厳格に解釈したものですが、それが、実質的にみなし弁済が適用されることはありえないという結論になり、みなし弁済自体の全面的な否定になったのです。

これだけの大きな変化は法律全体を考え直すきっかけとなり、貸金業規制法から貸金業法へ、平成18年改正(H22年6月完全施行)へとつながっていきます。


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