警察庁「平成28年における生活経済事犯の検挙状況等について」によると、2016年(平成28年)は、ヤミ金融事犯は528事件となり86件の大幅上昇となりました。
無登録・高金利事犯の検挙事件数が減少したもの、預貯金口座、携帯電話の不正取得等のヤミ金融関連事犯の検挙事件数が大幅に増加したためです。
検挙事例としては、
・090金融に係る出資法等違反及び登録貸金業者による出資法違反(幇助)事件
・090金融に係る貸金業法違反、出資法違反等事件及びレンタル携帯電話事業者らによる携帯電話不正利用防止法違反事件
・悪質な取立て行為を伴う090金融グループによる出資法違反及び威力業務妨害事件
などがあげられます。
<警察庁発表の最近5年間におけるヤミ金融事犯の検挙状況の推移>平成28年
検挙件数は増加していますが、一般的な闇金にあたる無届出と高金利事犯の件数は減少を続けています。
その一方で闇金関連事犯の検挙件数が増加しています。
ヤミ金融事犯 | H24年 | H25年 | H26年 | H27年 | H28年 |
検挙事件数 | 325 | 341 | 422 | 442 | 528 |
無登録・高金利事犯 | 190 | 168 | 151 | 140 | 139 |
ヤミ金融関連事犯 | 135 | 173 | 271 | 302 | 389 |
検挙人員 | 470 | 523 | 558 | 608 | 662 |
無登録・高金利事犯 | 315 | 337 | 258 | 267 | 257 |
ヤミ金融関連事犯 | 155 | 186 | 300 | 341 | 405 |
検挙法人数 | 6 | 12 | 9 | 6 | 4 |
無登録・高金利事犯 | 2 | 7 | 5 | 4 | 2 |
ヤミ金融関連事犯 | 4 | 5 | 4 | 2 | 2 |
被害人員 | 31,528 | 31,049 | 16,885 | 20,946 | 24,231 |
無登録・高金利事犯 | 31,398 | 30,936 | 16,654 | 20,588 | 23,824 |
ヤミ金融関連事犯 | 130 | 113 | 231 | 358 | 407 |
被害額(万円) | 1,099,008 | 1,500,401 | 977,645 | 1,609,086 | 1,319,526 |
無登録・高金利事犯 | 1,098,582 | 1,500,401 | 977,415 | 1,608,387 | 1,317,766 |
ヤミ金融関連事犯 | 426 | 0 | 230 | 699 | 1,760 |
<ヤミ金融事犯とは>
無登録・高金利事犯及びヤミ金融関連事犯をいいます。
①無登録・高金利事犯とは・・・ヤミ金融事犯のうち、貸金業法違反(無登録営業)、出資法違反(高金利等)をいいます。
②ヤミ金融関連事犯とは・・・ヤミ金融事犯のうち、貸金業に関連した犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)違反、詐欺、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(携帯電話不正利用防止法)違反等に係る事犯をいいます。
貸金業に関連した犯罪収益移転防止法違反とは、貸金業で得た収益をヤクザ(暴力団)へ上納金として渡して犯罪行為を行う資金源を提供することです。
詐欺はその名の通り、偽装して集客したり嘘ついて不当な条件で貸付を行う行為です。
携帯電話不正利用防止法違反は携帯電話を契約するときに本人確認書類の提出を義務付けて本人の使用以外の目的に使ってはいけない法律に違反することです。
増加しているオレオレ詐欺で使うための携帯電話調達に関連していて、特定の代理店が本人確認を行わない場合や、偽造した身分証で携帯電話を契約する、債務者の名義で携帯電話を契約する事例などがあります。
携帯電話の契約でヤミ金の拠点を分からなくさせるもので、ヤミ金での利用につながる目的で携帯電話を契約や利用した時点で法律違反になるものです。