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社会福祉協議会の不動産担保型生活資金・リバースモーゲージローン

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日弁連は2016年9月16日「銀行等による過剰貸付の防止を求める意見書」を公表し金融庁や全国銀行協会に提出

日本弁護士連合会(日弁連)は2016年9月16日付で「銀行等による過剰貸付の防止を求める意見書」を公表し内閣総理大臣、内閣府特命担当大臣(金融)、衆参両議院議長、全国銀行協会会長等に提出しています。

日弁連はこれまでも消費者分野、金融分野などさまざまな分野で人権を護るため、市民のための司法制度を実現するためたくさんの政策を政府や関係省庁、関係機関に提言・要望・意見などをしています。
貸金業・金融業の分野においても、多重債務問題、グレーゾーン金利問題、ヤミ金融問題などたくさんの提言、問題提起をし、貸金業法の改正等にもかかわってきました。

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「銀行等による過剰貸付の防止を求める意見書」の趣旨

1 金融庁は、「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」において、銀行、信用金庫、信用組合等の金融機関(以下「銀行等」という。)が貸金業者による保証を付した消費者向け貸付けを行う際には、改正貸金業法の趣旨を踏まえて、原則として、借入残高が年収の3分の1を超えることとなるような貸付けを行わないようにすべきことを明記すべきである。

2 銀行等は、貸金業者による保証を付した消費者向け貸付けを行う際には、貸金業法13条の2に規定するいわゆる総量規制など貸金業法の趣旨を踏まえて、原則として、借入残高が年収の3分の1を超えることとなるような貸付けを行わないようにするなど、銀行等による貸付けが顧客にとって過剰な借入れとならないように、顧客の実態を踏まえた適切な審査態勢を構築すべきである。

3 国は、貸金業法13条の2等の規定を改正する等により、貸金業者が自ら貸付けを行う場合のほか、銀行等の行う貸付けに保証を付す場合についても総量規制の対象とすべきである。
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かなり強い提言内容になっています。
このような状況では銀行も貸金業者と同等であるといっています。

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日弁連 消費者問題ニュース173号(2016年11月)より
銀行等による過剰貸付の防止を求める意見書について
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1 銀行等による消費者ローンの拡大
近時,銀行等による消費者向け貸付(消費者ローン)が拡大する傾向にあります。国内銀行の個人向け貸出しにおいて,「カードローン等残高」は,約3兆5千億円(2013 年)から約5兆1千億円(2016 年)と急増しています。そして,銀行等による消費者ローンには,多くの場合,大手消費者金融の保証が付されており,銀行等による消費者ローンの拡大は,大手消費者金融の保証事業残高の増加からも裏付けられます。例えば,アコム株式会社では2016 年3月期,貸付残高(無担保)が約7582 億円であるのに対して保証事業残高は約8857 億円となっており,「本業」であるはずの「貸付残高(無担保)」よりも,むしろ「保証事業残高」が大きくなるに至っています。

2 銀行等による消費者ローンは貸金業法の適用除外であること
貸金業法では,顧客の収入の3分の1を超える貸付を原則禁止とする「総量規制」が導入されていますが,銀行等による消費者ローンについてはそもそも貸金業法の適用はありません。そして近時,銀行等の中には「銀行のカードローンは改正貸金業法による総量規制の対象外です」などとして,貸金業法の適用外であることをことさら強調する宣伝が散見されるようになっています。「総量規制」が課せられている貸金業者よりも,貸金業法の適用がない銀行等が過剰融資を引き起こしている懸念があるのです。また,貸金業者が行う保証についても貸金業法の「総量規制」の対象とはなっていません。貸金業者が自ら融資をせずに,銀行等の消費者ローンの保証会社となることで「総量規制」を潜脱するという現象が生じているのです。

3 銀行等による消費者ローンについてのアンケート調査
当連合会では,2016 年6月に「銀行の個人向け貸付け(カードローン)に関するアンケート調査」を実施しました。それによると,①借入当時の年収が220 万円の顧客に対し,銀行が500 万円を貸し付けた事案,②借入当時の年収が160 万円の顧客に対し,銀行が無担保ローンで226 万円を貸し付けた事案,③貸金業者からの借入れを断られた後で,収入証明の提出も求められないまま銀行から借り入れた事案などが報告されました。同調査により,銀行等の消費者ローンでは,貸金業法による総量規制の適用がないことを奇貨として,年収の3分の1を超える過剰貸付けが行われていることが明らかになりました。

4 多重債務被害の再燃の傾向が伺われること
2016 年の貸金業法改正と官民連携による多重債務対策の実施により,この10 年間で多重債務被害は大きく減少しました。しかしながら,2015 年まで減少をし続けてきた自然人自己破産の新受事件数が,2016 年5月現在,前年同月累計比101.6%となっており,下げ止まりの傾向がみられます。また,当連合会の「2014 年破産事件及び個人再生事件記録調査」によれば,破産事件における債権者の属性については,登録貸金業者が67.51%(2008年)から45.47%(2014 年)へと減少しているのに対し,保証会社が6.33%(2008 年)から15.10%(2014 年)へと増加しています。保証会社の増加は,銀行等の消費者ローンに付された保証会社の求償債権の増加を伺わせるものです。銀行等の消費者ローンによる過剰融資により多重債務被害が再燃する懸念があります。

5 銀行等の消費者ローンについても実効的な「総量規制」を
金融庁は銀行等向けの監督指針において「銀行が消費者向け貸付けを行う場合…改正貸金業法…における多重債務の発生抑制の趣旨や利用者保護等の観点を踏まえ,所要の態勢が整備されることが重要である。」とし,「貸金業者による保証を付した銀行等による貸付けには,改正貸金業法第13 条の2に規定するいわゆる総量規制等,同法の適用はないが,顧客保護やリスク管理の観点から,本項に規定している所要の態勢整備を図ることが重要である。」としています。もっとも,現行の監督指針では「収入の3分の1基準」のような客観的な規制基準が存していないことから実効的な規制とはなっていません。そこで当連合会は2016 年9月16 日付けで「銀行等による過剰貸付の防止を求める意見書」を公表し,金融庁や全国銀行協会等に対し提出しました。同意見書において述べたとおり,金融庁においては,少なくとも貸金業者の保証が付されている銀行等による消費者ローンについては過剰融資を防止するために,貸金業法と同様に収入の3分の1を超える貸付を原則として禁止することを監督指針に明示することが求められます(意見の趣旨第1項)。また,銀行等も自主規制として顧客の収入の3分の1を超える消費者ローンは原則として過剰融資となるものとして厳格な審査態勢を構築することが求められます(意見の趣旨第2項)。そして,貸金業者の保証事業による総量規制の潜脱を防止すべく,貸金業法を改正し,貸金業者の保証残高についても「総量規制」の対象とすることが求められます(意見の趣旨第3項)。今後は本意見書を法改正等に結実する継続的な取組が大切になります。日常の多重債務相談の現場等においても,多重債務被害が再燃していないか,銀行等の消費者ローンの動向を注視していく必要があります。

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日本弁護士連合会は融資に上限を設けるなど消費者金融並みの規制の導入を求めており、銀行側も対策を検討しています。


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